中学時代のトラウマ①

あれは確か中学2年のいじめられるぎり前ぐらいの頃。クラスで1年間のそれぞれの係を決めるという時間だった。クラスの代表?と思われる男女二人が前に立ち、次々と係を黒板に書いていく。

俺はこの時、いかに楽な係につくかだけを考えていた。そして、図書委員なら特に目立つ行事もすることもなく、楽だと思った。人気もそんなになさそうだとも。

「じゃあ順番に言っていくんで、この係がしたい人は手を挙げてください」

代表の男がそういうと、次々に係が読み上げられた。図書委員は最後の方だったのだが、それまでの係に手を挙げる人はほとんどおらず、すぐにその瞬間が来た。

「次!図書委員になりたい人」

俺はこの瞬間すぐに手を挙げた。しかし、ここで想定外の事態が起きた。なんと他に女子二人も手を挙げていたのだ。その女子二人は休み時間によく話をしている仲のよさそうな二人だった。おそらく二人で図書委員をやろうとでも打合せしていたのだろう。

しかし、図書委員になれるのは二人までだった。その時自分は悟った。女子から見れば自分は完全に邪魔者、空気の読めない陰キャだということに。俺はすぐに手を下げて辞退しようとした。しかし、そこで代表の男が余計なことを言ってくる。

「三人手が挙がってしまったので、ジャンケンで決めましょう。それでは三人前に来てください。」

ふざけるな!!心の中で俺は吠えた。しかし、流れ的にもう自分が引き下がることもできそうになかった。

絶対に負けなくてはならない戦いが始まった。俺は手を震わせながら前に向かう。

(こういう時はグーだ。グーなら大丈夫なはずだ)

グーへの根拠のない信頼を寄せ、俺はグーを出した。だが、その信頼はすぐに砕かれた。女子二人がチョキを出し、俺が一人勝ちしてしまったのだ。そのあとの時間は地獄だった。二人がジャンケンしている様を見せられ、ただただ気まずかった。そして、その結果も決まり、

「じゃあ図書委員はカラカラさんとMさんに決まりました。」

黒板に俺とMさんの名前が書かれた。気まずい気分のまま、俺と女子二人は席に戻った。しかし、その時俺は確かに見た。二人の女子が憎しみのこもった目で俺をにらんでいたことを。実際にはそんなに睨んでいなかったのかもしれないが、俺にはそう見えた。

その後のことはよく覚えていないが、ひたすら机とにらめっこしながら過ごしていたような気がする。

もう二度とこんな思いは味わいたくない。